2011年9月22日木曜日

車は簡単には停まらない(車の暴走)

 


その日、僕たち家族3人は死んでいたかもしれないし、それだけじゃなく加害者になっていたかもしれなかった。


そんな一日の出来事を書く。


 


7月31日、僕たち家族は滋賀県の浜大津に向かっていた。


僕の両親が企画してくれたミシガンという船に、両親や姉の家族と一緒に乗るためだ。


そもそも、ゴールデンウイークくらいに行こうねと話していたのだが、


姉の子供の体調が悪くなり、のびのびになっていた企画だった。


みんな楽しみにしていて、嫁もまだ1歳3ヶ月になる娘に、


何日も前からお風呂で船のおもちゃを使って、


「こんなのお船に乗るんだよー。ぽっぽー」とか言い聞かせてて


子供もよくわかってないだろうけど「ぽっぽー」なんて言ってはしゃいでいた。


 


普段、仕事やなんやらで、寝るのが遅い僕も前日はかなり早めに寝て


体調も万全だった。


午前11時45分乗船予定だったので、僕たち家族は余裕を持って


10時前に家を出発した。


運転席の後ろには嫁、助手席の後ろにチャイルドシートに乗った娘を乗せて


僕は出発した。


 


両親の家が近くだったので、家の前を通ってみたけど


まだ、出発していないようだった。


僕たちはそのまま、宇治市役所の前を通り、宇治川を渡った。


いつものことだが、娘は小さな人形を握りしめながら


寝始めたようだった。


寝顔はぶさいくだけど、それもかわいい。


嫁とたわいもない会話をしながら


僕は、宇治東インターから京滋バイパスに乗った。


 


時間は10時過ぎだったと思う。


車にはETCを搭載しているので、ETCレーンを通過して


本線に乗ろうとアクセルを加速した。


詳しくは覚えていないのだけど、キックダウン(シフトダウン)などは行わず


普通に加速していったと思う。


 


京滋バイパスを宇治東インターから乗ると、すぐに


4キロほどの長いトンネルに入る。


 


http://www.youtube.com/watch?v=YxV9JBtgNE4


 


日曜の午前中ということで、走る車もいつもより少し多かったように思う。


渋滞というほどではなくて、普通に流れてはいるけれど。


 


そして事は起こった。


 


僕は本線に乗って、トンネルに入る頃には十分なスピードが出たと思ったので


アクセルを戻して、ブレーキに足を置いた。


普段の癖で加速するとき以外は、ブレーキに足を戻すということを


無意識にやっていたのだと思う。


 


しかし、なんか車の様子がおかしい。


アクセルを踏んでいないにも関わらず


加速しているような感じ。


緩い坂道を下っている場合だとそういう事もあると思うのだが


乗り馴れた、いつもの京滋バイパス。そんなはずはない。


 


おかしいなと思いながら、ブレーキを軽く踏むが、


全くスピードが落ちない。


そして、ブレーキを強く踏んでみるも


いつもより固く、足が押し戻されるような感覚を受ける。


もちろんスピードもほとんど落ちていない。


 


僕はこのあたりでややパニックに陥った。


 


後ろの席の嫁に


「車がおかしい、ブレーキが効かない」と言う。


嫁もはじめ何がおこっているのかわからないといった状況で、


「え?どうなってるんかなー?」という感じ。


まだ、あまり事の重大さに気づいていないんだろう。


 


僕はアクセルに何かひっかかってるかなと思い


アクセルの後ろ側に足を持っていって、


引き戻そうともしたが、そもそも何もひっかかっていないので、


何もかわらない。


その後もスピードは落ちないし、むしろ徐々にあがり始めているような感じだった。


 


前方には車が走っているし、横も後ろも車がいるような状況。


しかもトンネルの中なので路側帯がない。


つまり、どこにも逃げられない状態だった。


 


軽いパニックに陥りながらも


まわりの車に故障を知らせるため、ハザードを出した。


で、エンジンを切ろうとも思ったが、このスピードでエンジンを


切るとどうなるのか、すごく怖かった。


スピンして、車横転なんてことにもでなるような気がした。


マニュアルなら、クラッチを切ればいいのかとも思ったが、


この車はオートマだ。


 


ギアを下げてエンジンブレーキをかけようかとも思ったが、


よけいに加速しそうでこれも怖かった。


次にニュートラルにしたらどうなるか?


とっさの事なので、判断ができない。


でも、スピードは落ちないし、ブレーキも効かない。


 


えい!って感じで、ギアをニュートラルに入れる。


すると、エンジンからあり得ないような空ふかしのような音


「うお〜ん、うぉんうぉんうぉんうぉんうぉん・・・」という音がする。


 


嫁はこの音を聞いて、相当あせり、「車が爆発する?!」と言い始める。


 


僕はエンジンはおかしい音がしてるものの


ギアがはずれたので、加速はしなくなり、ブレーキが効くようになったので、そのままブレーキを踏み


車を減速させた。


そして車がちょうど止まりそうとなった時に、本当に奇跡的に、トンネルの中にたまに登場する


避難口があり車が数台だけ止まれそうなスペースが現れた。


異音のする車のまま、減速してそこに車を入れた。


 


エンジンはまだすごい音がしていたので、サイドブレーキを強く引き


エンジンを切った。


 


すぐに嫁に「子供を連れて、車から出ろ。荷物はいいから」


という。


嫁は、子供をチャイルドシートから降ろし、抱きかかえたまた


後部座席から助手席に移り、助手席側のドアから降りた。


嫁が「娘のかばんだけ取って」というので


後部座席にあった、子供の鞄だけ取って、僕も助手席側から降りた。


 


降りてみたものの、どうしたらいいのかわからなかった僕は


とりあえず、嫁と子供を1mくらい高い通路のようなとこにあげた。


 


警察に電話するのか、どうしたらいいんだろうと悩んでいたら


緊急電話が目に入ったので、すぐにその電話ボックスに入り、受話器を取った。


 


電話口には、道路公団の人なのかオペレータの人が出て、


車が故障して、とまっていることを告げる。


ぶつかっていないか?怪我はないかなどを聞かれ、


すぐに、担当のものを向かわせるとの事。


レッカーは出来ないので、JAFか保険会社に連絡するように告げられる。


 


電話を切ったのち、一度車に戻り、


保険会社の連絡先を探す。


この間もすごいスピードで巨大トラックなどが、横を通過していく。


さらに、焦げ臭いにおいまでして、


(あとから考えると何だったんだろう)


追突されるかもしれない、車が爆発するかもしれないという恐怖の中、


後ろや前を確認しながら(びびりながら)


保険証書を取り出し、すぐに携帯で連絡をする。


 


この間、嫁は僕の両親に現状を伝えてくれている。


 


携帯電話で保険会社に電話。


女性のオペレータが出てくれて


故障の内容を告げると、


レッカーを手配するとのこと。


どこまで持っていきますかと聞かれたので


ディーラーまでと告げると、さらに


嫁、子供がいることを告げると、


レッカー車にそれだけ乗れるか確認するので、


調べて、連絡するとのことで一旦電話が切れた。


 


またもやこの間、嫁は僕の両親に現状を伝えてくれている。


 


ようやく、少し落ち着いてきて、嫁と子供をみると


手や服が真っ黒になっている。


自分もみてみるとズボンが真っ黒に、手も真っ黒になっている。


トンネルの中というのは、排気ガスだらけで地面も手すりも


緊急電話のボックスも、ススで真っ黒だった。


 


子供用の鞄の中から、ウエットティッシュを取り出して、


子供の顔をふいてやる。


何がおこっているのかわからないのだろうけど、


嫁の腕を強く握っておとなしくしているのをみると


親が尋常じゃない感じであたふたしていたんだから、


相当怖かったのだろう。


 

・・・その後、日本道路公団や、警察、レッカー業者などが来て、

とりあえずは、無事に家に帰る事ができた。

 

ディーラーで車を検査したら

エンジンに空気を送り込む調整弁に、エンジンフィルターのゴムが

挟まってしまったのが原因だとのこと。

 

つまり、弁が閉じずに常に空気が送り込まれるので、アクセルを踏んだのと

同じ状態になるとのことでした。

 

なんとも恐ろしい。

車はブレーキ踏めば停まると思ってたけど、そう簡単ではないみたいです。

 

こういうこともあるよって事を、これもみてくれた人には伝えたいです。

もし、僕と同じようになった場合

 

・ギアをニュートラルにする。

(全てがこうじゃないと思うで責任は取れないですが)

 

ことです。

 

その後、詳しい人に聞いたところ、

走行中にエンジンは切らなくて正解だそうです。

もし切っちゃうと、いろんな制御ができなくなるとのこと。

 

僕らが死ぬだけじゃなくて、他の人を巻き込んでたらと思うと、

数日は寝れなかったです。


あー怖かった。